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エッセイ 「私とADA」皆様からの”ご応募作品」三重県 T.M様

高校生の頃、毎月発刊されるアクアリウム雑誌(アクアライフ)に綺麗な水草レイアウトの写真を寄稿する人物がいた。
それまで、単にグッピーの隠れ家としてウィローモスやウォータースプライトを水槽にいれていた私にとって、それはとんでもない衝撃だった。
それも、1回ではない。毎月である。
いよいよ自分が押さえられなくなる。
「こんなレイアウトを作りたい!」
憧れが情熱に変わった。
しかし、そう容易く真似できるものではなかった。
失敗と挫折の連続だった。
しばらくして、その人物は会社を経営しており、自社でアクアリウムグッツを販売していることを知った。
さらに、その会社はネイチャーアクアリウムを紹介する雑誌をオリジナルで毎月発刊していた(アクアジャーナル)。
これが強烈だった!
今では考えられないが、当時は新作のレイアウトを毎月4~5つ紹介していた。
ページを一枚一枚めくるのにドキドキしたし、添えられている文章にも全て目を通した。
そして、綺麗なレイアウトを見ているうちに制作している人物にも興味が湧くようになった。
これが私と故・天野 尚さん、ADAとの出会いである。
以降は、時間と気持ち(情熱!)の許す限りこの趣味に費やすこととなる。

あれから20年。
天野さんが亡くなられてからも6年近くたつが、私のあの頃の気持ちは消えない。
天野さんとは世代こそ違うが、同じ時代に生まれてよかった。
天野さんのレイアウトや写真をたくさん目にすることができたし、天野さんの考えに触れることができた。
それは、すごく幸せだったし、贅沢すぎた。
初めて天野さんにお会いした時は猛烈に嬉しかったし、興奮した。
そして、天野さん自身の姿にも憧れた。

今でもレイアウトに向き合うときは天野さんの存在が大きい。
底床前面は真っ直ぐにならされているか、水槽の四隅の処理は雑になっていないか...。
天野さんのレイアウトが、写真が言葉が、私のレイアウトと深く結び付いている。

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